服部家

2021 03.25

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浜通りにたたずむ「服部家」を賑わい交流拠点に!服部家の再生ものがたり

焼津駅から焼津港方面に向かって1kmほど行ったところに、昔懐かしい面影を残す「浜通り」という街道があります。

かつて魚商人たちで大変な賑わいを見せたここは、「焼津水産業の発祥の地」として知られ、焼津市にとって特別な場所の1つです。

そんな浜通りには、焼津水産翁の1人と称えられる服部安次郎さん(1850年ー1941年)の生家「服部家」が現存しています。

服部家は、海風や高潮を避けるための工夫がほどこされた浜通り特有の伝統家屋であるうえ、古い部分は明治20年以前に建造された、歴史的価値の高い建物です。

この服部家を新しい賑わい交流拠点にし、浜通りの活性化につなげていけたら。そんな想いを原点に、服部家利活用プロジェクトが立ち上がったのでした。

プロジェクトを遂行するにあたっては、地域住民や企業、各種団体、行政等が連携し、浜通りの歴史や文化、町並みの保存、活用などについて検討する組織である「浜通り活性化フォーラム」の皆さんと話し合いを重ね、計画を具現化していきました。

服部家

(浜通りの歴史的な町並み:浜通り活性化計画より)

プロジェクト始動するも、再生への道は苦難の連続

服部家

2017年7月に焼津市が服部家の寄附を受け、服部家利活用プロジェクトは始動しました。

命題は、「服部家の趣を残しながら再生する」こと。まずは、現地調査からスタートです。

服部家は延べ床面積約346㎡にもなる木造2階建てで、8〜10畳の部屋が9つと、お勝手(台所)などで構成された邸宅です。

中に入ってみると、漏水被害等により建物の中央部がほとんど崩れ落ちている状態でした。また、2軒の家をつなげて1軒の住居にしていたため、古民家としても複雑な造り。

果たして、伝統構法を残しながら安全な構造体にしていけるだろうか。メンバーの誰もが不安を覚えました。

服部家

しかし、焼津の礎を築いた服部家を残すため、ここに訪れた人たちに焼津の歴史や文化を感じてもらうためには、古材や伝統技術を残す必要があります。

厳しい条件下ではありますが、使えるものはできるだけ残して再生することを基本として、利活用計画を立てていくことを決意しました。

受け継がれていく職人の技とスピリッツ

服部家

計画が決定し、改修工事に着手したのは2020年6月のことでした。

改修部分の目星はついていましたが、壁をはがすと大丈夫だと思っていた柱が半分腐っているなど、次々と課題が浮上します。

その度に、工事請負業者と設計士と職人たちは話し合い、作業の段取りをとっていきました。

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一筋縄ではいかない改修工事でしたが、昔の職人が残した手仕事に鼓舞される場面が多々ありました。

焼津の歴史的な人物の住居だっただけあって、柱1つ、板1つ付けるにしても手間や工夫が散りばめられており、工事を進めるごとに見えてくる当時の職人たちの手仕事に、熱いスピリッツを感じます。

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100年以上の時を経て、伝統技術が現代の職人に受け継がれていく。そしてまた何十年後、彼らから次世代の職人にバトンタッチされていく……。

技術と想いが時代を超えて継承されていく瞬間を目の当たりにしました。

伝統構法その1、「金輪継ぎ」

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ここからは、服部家で用いた主な伝統構法を3つご紹介していきましょう。

まず1つ目は、「金輪継ぎ(かなわつぎ)」です。

日本の伝統的な建築技術の1つに、金物を使わず木と木をつなげる「継手(つぎて)」という技があります。そのうち、特に高い強度を得たいときに使われるのが金輪継ぎです。

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金輪継ぎなどの継手では、根本から50〜100cmあたりのところで柱を切り、そこに新材を継ぎ合わせていきます。

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あえて古い木材と新しい木材が分かるようにしている箇所があるので、訪れたら際にはぜひチェックしてみてください。

伝統構法その2、「石場建て足固め」

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2つ目は、「石場建て足固め(いしばだてあしがため)」です。

写真を見ていただくと分かるとおり、石の上に柱を乗せる手法です。古い神社やお寺で見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。

足元の通気がいいため防腐性に優れ、土台がコンクリートの基礎にがっちりと固定されていないため、地震のエネルギーを散らすことができます。

また、万が一足元の部材が傷んだ場合も修繕が可能です。古民家ならではの再生技術が光ります!

伝統構法その3、「竹小舞土壁」

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3つ目は、「竹小舞土壁(たけこまいつちかべ)」です。

竹小舞土壁とは、細く割いた竹を格子状に組み縄でしばり、そのうえに土を塗って仕上げる壁のことをいいます。

土壁の内部は弱アルカリ性に保たれるため、内部が空気に触れなければ、なんと100年以上もリユースが可能なのだそうです。

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服部家の壁は、吹き込んだ雨で損傷を受けていた箇所もあったため、多くの壁は新しい材料で再生しました。今後、メンテナンスをしっかりしていけば、時代を超えて受け継がれていくことでしょう。

ご紹介した構法を駆使しながら改修工事を行った結果、歴史的価値の高い部分は職人たちの手により、見事再生を果たすことができました。

間取りもほとんど変わっていないため、明治初期から昭和にかけての趣をしっかりと感じられると思っています。ちなみに、古いシミなどはあえて残したままにしているんですよ。

焼津の新しい「賑わい交流拠点」にようこそ!

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2021年4月、服部家は焼津の新しい「賑わい交流拠点」として生まれ変わります。

観光に訪れた皆さまと地域の人々との交流の場となることはもちろん、懐かしさや癒しを求めている方の心の拠りどころでありたいと思っています。

人情あふれる焼津の人々が、どんなときも皆さまを元気に温かくお出迎えし、地域に愛される拠点となることを目指していきます。

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